仕事ができる人は小さめのスーツを着ている?ルールの決め方
現在、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」という本が話題になっています。(アエラスタイルマガジン朝日新聞出版刊 山本晃弘著 クロスメディア・パブリッシング刊、税別1380円)
この本のタイトルを聞き、納得できる方々もいらっしゃるでしょうし、そうなのか?とちょっと驚いた顔をしている方々もいらっしゃるのかもしれません。
賛否両論意見もあるのでしょうけど、この本が話題となり、サラリーマン、新社会人、就活生……などと言った方々が多く購入されているのは紛れもない事実です。
まさに、「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」は、ビジネスマンたちのバイブルになろうとしている気配を感じ取ることができます。
「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」のタイトルから読み取れること
「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」というタイトル自体とても印象的であり、本を売ろうとしている側の立場からすれば戦略に成功しています。
おそらくビジネスマンの方々は、この本のタイトルに一度は前で立ち止まることでしょう。
「仕事ができる人は、小さめのスーツを着ている。」のタイトルからは、大きめのスーツを着ている人たちは、=仕事ができないとも読みとることができ、仕事がそれ程できない……という方々であっても、まずは仕事着から入り、小さめのスーツを着ることで仕事ができる人間だと評価されるようになるかもしれない……ということまでを言っているのです。
そんなことをすんなり信じ込んでいいものでしょうか。
タイトルの背景
このインパクトのあるタイトルの背景には、楽天の三木谷浩史氏、サントリーの新浪剛史氏、日産のカルロス・ゴーン氏、サッカー元日本代表である三浦知良氏のデキる4人の姿があり、著者は、「この4人に共通しているものが、小さめのスーツを着ていることだ」という結論に至ります。
楽天の三木谷浩史氏、サントリーの新浪剛史氏、日産のカルロス・ゴーン氏、サッカー元日本代表の三浦知良氏の4人が大きめのスーツを着ているとしたら、「仕事ができる人は、大きめのスーツを着ている。」というタイトルになったのでしょうか。
そのタイトルは、単に4人の偶然がもたらしたことなのでしょうか。
そうではありません。彼らは仕事がデキるから、小さめのスーツを着ていたのです。
通常のビジネスマンは大きめのスーツを着ている
4人は、単に適正サイズのスーツを着ていたに過ぎないのです。そして、圧倒的多数の人たちが着ているスーツの方が、大きめのサイズなのです。
小さめのスーツとは、身体にフィットしたスーツのことです。そして、そのような身体にフィットしたスーツを着ることで、立ち居振る舞いが機敏に見えて、仕事がデキる人間のような印象を与えることができます。4人に共通して感じられるのは、立ち居振る舞いの機敏さなのです。
ただし、大きめのスーツを着ているような人でも仕事がデキる人はいます。例えば、米国のトランプ大統領には大きめのスーツを着ている感じがあります。トランプ大統領には、どっかりとした威厳を感じ取ることができますが、機敏という感じではありません。
段々と太ってきてしまうから
なぜ、一般的ビジネスマンの方々が、安易に大きめのスーツを着ているのかと言えば、とかくビジネスマンが中高年と化せば、段々と太ってきてしまうからです。そうすればおのずと大きめのスーツを選ぼうと思うようになります。
中高年は太ることは仕方ない……という思い方をすれば、あらかじめ太ることを想定して、大きめのスーツを購入しようとするかもしれません。
しかし、海外において太ること自体がビジネスマンとして致命的欠陥なのです。「ちょっと太ってしまったけど、もっと食べたいし、まっ、いいか……」という気持ちではより、どんどん太っていってしまうことでしょう。その精神には、ストイックさを微塵も感じ取ることができません。
デキるビジネスマンはトレーニングする
しかし、デキる多くのビジネスマンは、「これでは良くない」と思い、トレーニングをして瘦せようと思うことでしょう。
そのような厳しい生活習慣をいつも持つことで、自ずと小さめのスーツを選ぼうとする気持ちが生まれるのではないでしょうか。
小さめのスーツがストイックな精神を象徴していると言っていいのかもしれません。
人柄は仕事着に出ることもあるし、適正のスーツを着ていると、仕事ぶりも人柄も変わることがあるという理解の仕方をしてもいいのではないでしょうか。
スーツを着ることが仕事のスタートライン
ビジネスマンの方々がスーツを着るということは、想像以上に大事な意味をもっています。
スーツ選びは、仕事の最初の一歩であり、スタートラインの意味をもつものであるためです。デキる取引先の相手は、スーツから相手の人柄を読み取っています。
潜在的に仕事がデキるビジネスマンであったとしても、人柄のいいビジネスマンであったとしても、それがストレートに相手に伝わらないと大きなタイムロスです。スーツとは、相手に簡単にビジネスマンの能力を伝えることができる有能ツールなのです。
仕事さえ出来ればどんなスーツを着ていても構わない?
「そんなスーツにばかり拘わっていないで、仕事に集中しろ」と言われてしまうのかもしれませんが、仕事さえ出来ればどんなスーツを着ていても構わないというのは、非常にナンセンスな発想です。
特にビジネスの世界では、単に見た目、第一印象が左右することも多くあるため、スーツに拘りをもつことには充分に意味があります。
既成スーツでもスタイリッシュに決める方法
大きめのスーツを着ていたとしても、なんとなく着ているのではなく、そこに自己主張を垣間見ることができれば、決して仕事がデキないビジネスマンという見られ方はしません。
大きめのスーツを着ている人たちの何が悪いのかと言えば、なんとなく自然の成り行きでそのようなスーツに依存してしまっていることです。もっとスーツに対して拘りをもつことで、結果として、小さめのスーツが選ばれているのです。
スーツのベストセレクションは、オーダーメイドにあると言ってもいいのかもしれません。しかし、なかなか高くてオーダーメイドを作れないという方々もいらっしゃることでしょう。しかし、既成のスーツでもいくらでもスタイリッシュに決めることができる方法があります。
まずは百貨店に出向く
まずは、百貨店に出向いてみましょう。もちろんそのような場所には、いろいろなスーツが販売されています。その中から自分自身に合った一着を選ぶことができます。
お気に入りのお店を見つけることができれば、しばらく通い続けてみるといいでしょう。会員カードには、買ったスーツのデータが残っています。ですからお得意さんになることで、スタッフから「一年前にストライプのネイビーを購入されていますが、今回は、グレーはどうでしょう。イメージを変えることができますよ」と言ったアドバイスももらうことができます。
また、パートナーと一緒に行くのもいいです。独り善がりの発想ではなく、客観的にスーツのサイズやカラーをチェックしてもらうことが大事です。
そのような流れでも、充分スーツに拘りをもつことができます。別にオーダーメイドのスーツに頼るばかりが拘りではありません。
スーツ選びのルールを知る
スーツ選びにはルールがあります。あらかじめそれを知ることができれば、楽にスーツ選びをすることができ、かつ、デキるビジネスマンの印象を相手に与えることができます。
Vゾーンに使用する柄は2つまで
Vゾーンの柄は2つまでがルールです。スーツであったり、シャツ、ネクタイを全部柄ものにしてしまうことで、陳腐な印象になってしまいます。
おおかたスーツがストライプなどの柄で、ネクタイも柄ものであれば、シャツは結果、無地を選ぶということになります。
Vゾーンを同系カラーでまとめる
Vゾーンを印象的にするために、とかくカラーを使いすぎてしまいがちですが、同系カラーでまとめあげることで、上品な印象を生み出すことができます。
例えばトランプ大統領の場合、よく赤のタイをしているのですが、そこには押しの強さをアピールする戦略が見えます。ビジネスマンの方々も、プレゼンで勝利を得たいようなシーンで、強いカラーのタイは効果をもたらします。ただし、一方で部下から相談を受けたりするときには、威圧感を与えがちであるため注意も必要です。
真夏の仕事着のルール
真夏の仕事着にはどのようなものを選べばいいのでしょうか。
現在は、クールビズという言葉があります。ビジネスカジュアルという言葉もあり、仕事着の選択肢は間違いなく広がっているようです。
ただし、実際に現場で意見を聞けば、何を着ていいかわからない……という声を多く聞きます。
いま、電車の中などでビジネスマンを確認すれば、セットアップのスーツにTシャツのようなスタイルを見かけるようになりました。IT関連であったり、クリエイティブ系の仕事をしている人たちが軸となっているようです。
かなり一般的になっているため、「自分もああしてみよう」と思う方々もいらっしゃることでしょう。しかし、あえて誤解してならないのは、どのようなビジネスマンもセットアップのスーツにTシャツのようなスタイルをしている訳ではないことです。
丸の内や新橋、また、ビジネス街の中心でそのようなスタイルをしているビジネスマンがどの程度いるかと言えば、確認したところごくごく一部です。取引先の相手に誤解される可能性もあるため注意もしなければならないでしょう。
既存のルールを守ることが大事
しかし、クールビズ期間であるから、まずはネクタイを外して大丈夫などと言った、昔の時代と比較して変化があらわれたことも事実です。逆に、どこからを許し、どこからを許してならないのか判断も難しいです。
しかし、ここにも既存のルールが存在しているため、あれこれ考える前にルールに従う意識をもつといいでしょう。
大事なのはカラー
まず、仕事着で大事なのは、カラーです。たとえば新しい社会人の方々にはまだ仕事での実績がありません。マッサラの状態で、これからスタートするビジネスマンが選ぶべきものは、ネイビー(紺)のスーツです。ネイビーカラーには、
誠実
凛々しい
知的
……などと言った印象を与えるパワーがあります。それは、上司や取引先に対して、おかしな印象を与えてしまうリスクが非常に少ないカラーです。
フレッシュビジネスマンがまだスーツが揃っていない段階であれば、2着目、3着目あたりもネイビーのチョイスで問題はありません。
そして、まだTシャツを着ること自体推奨していない企業は多いため、上半身に合わせるものはシャツです。
クールビズ期間であれば、半袖の開襟シャツやポロシャツでもいいです。どちらも襟がキレイに開くようにできているので、ノータイのシーズン向きということができます。
ビジネスシーンでモテ要素は必要ない
仕事場においてモテを意識する方々は多いのではないでしょうか。しかし、そのようなものは、ビジネスシーンには不要です。肌の過剰な露出は、呉々も控えるべきです。
よって、シャツを第二ボタンまで開けることは避けたいですし、最近散見するくるぶしの露出も避けるべきです。最近のカジュアルファッションにおいて、外から履いていることが見えないインビジブルソックスの普及が進んでいるのですが、その影響があって仕事場でもくるぶしを露出する方々が多いです。
しかし、肌の過大な露出は、相手に不要な緊張感を与えることになります。それではうまくいくべき交渉もスムーズに進んでいかなくなってしまうことでしょう。
そもそもルールとは何か?
そんなルールは一体どこにあるの……?その根拠は何?……と疑いの目をもつ方々もいらっしゃるでしょう。
実際にスーツ選びにもルールがあります。しかし、ルールというものは、フレキシィブルに変わるものであり、なんで小さめのスーツがいいのか、これ以上問いただすこともナンセンスです。
なぜなら、本当の意味での正しい答えは一日一日一緒に仕事をしている人であったり、環境への寄り添いなどの要素によって構築されていくからです。
それぞれの方々のそれぞれの思いからビジネススーツ選びをしてもらって構わないのですが、時として、大きく枠を超え出てしまうようなこともあるでしょう。それを注意喚起するためにルールという言い方をしているまでです。
それを理解した上で、「僕はこうではなく、ああしよう」という発想をもち、スーツ選びをしていくのであれば、それは構いません。
そして、それがやがて、スーツ選びのルールとして定着化することもあるのかもしれません。
まとめ
いかがでしょうか。今回は、スーツの選び方について解説しました。
現在、スーツ選びのルールは小さめのスーツを選ぶことです。それは、
三木谷浩史氏
新浪剛史氏
カルロス・ゴーン氏
三浦知良氏
の面々が着ているスーツのスタイルであるからです。
フレッシュビジネスマンもまずは小さめのスーツから目指していくといいでしょう。
ルールのボーダーラインを超える意欲的ビジネスマンがいても全然かまわないのですが、それでも、ボーダーラインを知り、微妙な線の超え方をしていくことが、うまくビジネスをこなすコツであり、デキるビジネスマンの在り方と言っていいでしょう。
ルールとは、破るためのものであり、かつ、従うためのものなのです。
小さめのスーツを選ぶというルールに基本従い、自己の主張でもって中には大きめのスーツを選ぶ方々がいても問題はありません。ただし、一般的にありがちななんとなく大きめのスーツを着ているという姿勢は改善しないことには、なかなか出世を見込むことができません。